「まーた今日も駆け込みかよ」


すると、いつものように茶化すような声が耳に届き、同時にデコピンをくらった。


「ちょっ、快二。痛いんだけど!」


高橋快二、同じ高校2年生で球児。快二は、高校に入って隣の席になった男友達だけど、いつもこうやって何かとつっかかってくるの!


「いつもそんなにバタバタしてさ、もうちょっと早く家出ろよな?」


「女の子は準備に時間がかかんのっ」


「誰が女の子だって?」


「快二くーん、あたしの愛のパンチほしいのかな?」


快二へ不敵な笑みを浮かべると、私と快二の隣で私達の会話に笑みをこぼす人物が目に入った。


「あ!志摩、おはよっ」


「おはよう。いつも2人は面白いな。いいコンビだよな」


志摩准一(しまじゅんいち)。快二とは中学からの友達。


「ちょっ、志摩。快二とコンビなんて嬉しくないー」


「おい!お前な、俺は野球部のエースだぞ?嬉しいと思え」


「思いません。むしろありがた迷惑」


「お前な~」