「いつ帰って来んのよ、アイツ……」
それから、100位を過ぎても准の姿はなかった。城薗は小さなため息をつく。
「そんな心配すんなよ」
「心配するよ。だって、あの志摩だもん。途中でぶっ倒れてたらどうしよう」
あり得なくもない。だけど、今のところ生徒が体調不良っていうのは先生達も言ってないし、准もまだ走ってるだろう。
准の奴、本当いつ帰ってくんだよ。もうそろそろ……
「あっ……志摩だ」
城薗の声に、足元の芝生を見つめていた俺の視線は正門へ向かう。
准が帰ってきた。って、アイツ走り方おかしくね?もしかして、どっかで転けたのかよ。
それでも少しずつゴールへ近づいている准。
「准、お前もっと走れよ!ほら、もうゴールだろ!」
こんな風に准を応援することがあったかなってくらい、大きな声でアイツを応援する。
「志摩ぁっ!もうちょっとだよーっ!」
隣にいる城薗もでっけぇ声援を送る。その瞳は、少しだけ潤んでいるようにも見えた。


