去年は50位ギリギリだったけど、結構速いとこいたんだ、俺。
自分が何位か考えずに走ってたから、約300人中のこの順位には驚きだった。
「高橋、お前顔だけじゃねーんだな?」
先にゴールしていた先輩から声をかけられる。
「ちょっ、それ失礼っすよー」
「悪いって。褒めてんだから喜べ」
先輩とそんなやり取りをしていると、城薗が俺のところに来るのが見えた。
……ん、俺のところ?
えっ、アイツが俺んとこ来てるじゃん!?
俺の心臓は、走った後にも構わず、もうスピードで高鳴り始める。
「先輩、すみません」
先輩に一言伝えると、俺は城薗の方へと足を進めた。
「快二、お疲れ!」
城薗が片手をあげて俺に笑う。
コイツからこんなこと言われるなんて思ってなかった。
何これ、すっげー嬉しいんだけど。
「2年で3位だって。アンタ意外とやるじゃん!」
「んだよ、その上から目線」
貶された褒め方に嬉しい反面、素直になれない俺は、軽く城薗の頭を小突く。


