「はぁっはぁっ……好きな奴の前では、カッコつけたいっすからね」
城薗の前では、いつだってカッコイイ男でいたい。アイツがいつか俺に惚れてくれるように、好きになってくれるように。
近くなってきた正門。もうすぐゴールだと思うと、胸が高ぶる。あと少しだって思うと、足が前に……前に出る。
「がんばれーっ!」
正門付近にいる生徒達が、立ち上がって応援する姿がチラつく。その生徒の前を走りすぎた俺は、校庭へ向かって重い足を進めていく。
「快二ー!あと少し頑張れー!」
聞こえた。
城薗が俺を応援してくれる声が聞こえた。
嬉しすぎるって。今俺、絶対顔ニヤけたって。
ラストスパート、俺は校庭の土を空へ届けるくらい、力を振り絞って走った。
1位ではない。
それでも、ゴールテープが用意されていることが嬉しかった俺は、両手をあげてゴールした。
係の生徒から着順の番号カードをもらった。
【15位】
うわ、マジかよ。


