「城薗さんっ」
ギクリ
その声に反応したあたしは立ち止まる。掃除時間。ゴミ捨てジャンケンで負けたあたしは、ゴミ捨て場へ向かっていた。
「俺もゴミ捨てなんだ。一緒行こ!」
声の主は志摩。いつもなら嬉しくてニヤけてるところだけど、今はいろんなことを考えすぎてそんな余裕もない。
「今日もさみーなぁ」
他愛もない世間話をする志摩。軽く相槌を打つけど、なかなか会話は入ってこない。
志摩、あたしがバレンタイン渡してないこと……気にしてない?
志摩、あたしが快二から告られたの見たよね?ねぇ……気にならない?
聞きたいのに、下唇を噛むだけで言葉にできない。
「そういえば、昨日」
ドキッ
志摩から出た言葉に体が反応する。
「呼び出したのって何か用事だった?」
まずはその話題らしい。
「あ、うん。ほら、しっ、志摩チョコ貰えたのかなって思ってさ。ほら、こんなヘボっちい志摩に渡す人いるのかなって思って」
「おい、それヒドイだろー?」
コツンと志摩の拳が、あたしの頭に軽く当てられる。


