「「チョコもらえねーから」」
准と俺の言葉が重なる。中学の時にもこんなこと言ってたっけ?
「だってよー、快二は山ほどもらうのに、貰えなかった俺は友達として辛かったんだぜ」
「野球部のエースってのはいいもんだなぁ」
「でもさ、自分でいうのもなんだけど、俺がエースだとしても、チョコ貰える気がしねぇよっ」
准はいい奴だ。こんな笑い話も何度もしているのに、飽きが来ない。
たしかに、中学の時に准が好きな子がいて、その子と准はいい感じだったけど、結局バレンタインは貰えなかった。その子にもいつの間にか、彼氏が出来てたってこともあった。
いつも一緒にいて、俺のことを一番理解してくれる相手は、准だけだ。
でもそんな准だけど、ううん、そんな准だから俺はお前が羨ましいよ。
俺が欲しいものをお前は持ってる。
去年、友チョコという嘘の名で、城薗から本命を貰えてんだよ。
城薗の恋心もお前は掴んでんだよ。


