「あぁ。汗くせぇまま電車に乗れるかよ」
「俺も土まみれのジャージじゃ嫌だしな」
吐く息が白い。ほんのり頬に当たる風は、より寒さを漂わせる。
「そういえば、2人とも補習お疲れ様」
志摩が言う。
「快二さ、部活に来るの遅くて、監督に怒られてたんだぞ」
「そうなの?快二ってば、あたしと同じくらいに終わったからねー。もう少し早く解けなかったものかね~」
「お前が言うな」
ポカッと快二に頭を叩かれる。と、同時にさっきの石田の言葉が頭の中を過った。
【アイツ、課題終わってたのに、お前のこと待ってたぞ】
まさか、ね。
「……もしかしてだけど、快二あたしのこと待っててくれた?」
なぜか、石田の言葉が気になって快二に聞く。
「は?んなわけねーだろ。真面目に問題解いてただけだ。部活に行きたいのにお前を待つかよ」
動揺もせずに答える快二。
「だよねー。変な思い違いすみませんでしたっ」
うん、やっぱり石田の勘違いだ。


