快二の奴、もう何球くらい投げたんだろう。ピッチャーの練習とかあんまり見たことないから、変な感じ。
あっ、志摩が叫んでる。一生懸命応援してるのかな?
志摩を見ると……やっぱりなんかドキドキするなぁ。
「なぁ、城薗」
石田に名前を呼ばれてハッとした。
「お前、名前間違えてるから」
石田に言われ、さっき解いたプリントを見る。
【志摩 奈央】
「ぎゃぁっ!やだ!やめて!」
慌てて近くにあった消しゴムで名前を消して、石田の手から4色ボールペンを取って名前を書き直した。
しまったよー。問題解いてる時に、志摩のこと考えてて、同じ名字になったらって考えてたら書いてたんだ。消すの忘れてたよ~。
「志摩ってあの志摩?」
野球部をチラッと見てニヤニヤする石田。
「内緒だから!」
「おうよ。そうかー、志摩か」
「石田~。科学の喜久田ちゃんのこと好きなのバラすよ?」
「おいっ、バカやめろって!」


