ちょっとくらい気を効かしてくれてもいいじゃん。恋の相談もしてるんだからさ、お前ら2人で帰れよとかさ。
「ほら、これ使っとけ。じゃ、部活行って来るから。終わったらラインするわ」
そう言った快二から渡されたのは、マフラーとパーカーだった。
「あったか~い」
数人の先生が残る第2職員室で、ストーブにあたりながら、窓越しに野球部の練習を眺めるあたし。
「お前、高橋とデキてんだっけ?」
補習ティーチャーの石田が、先程のプリントを丸つけしながら、あたしに話しかける。
「やめてくださいよー、そのデマ信じるの」
わざとらしくため息をついて、石田を見る。
「だって、アイツ課題終わってたのに、お前のこと待ってたぞ?」
・・・え?
「何言ってんの、石田。アイツ終わってないって言ってたし」
「ふーん、そうか。俺の気のせいだったかなぁ」
ポツリと呟いた石田は、再び丸付けを開始した。
外、寒そうだな。
ボケッとしながら再び野球部の練習を見る。快二から借りたマフラーとパーカーを身に付けているあたしが窓に映る。


