「勝ち目……ねぇよ」
前、准に城薗のこと好きになんなよ、なんて偉そうなこと言ったけど……俺にそんな権利ない。
それに、准が城薗を好きって気づいたら、俺に城薗を振り向かせることなんて出来っこない。
俺の片思い……どこに持ってけっていうんだよ。
大掃除の後、教室に帰り自分の席につく。
ポスッ
何かが俺の頭をかすめた。
「ちっ、おっしーい!もうちょっと内側を狙えばよかったかなー」
廊下にいた城薗が、丸めた紙を俺に投げていたようだ。悔しそうに片目をつぶる彼女。そんな姿さえも……可愛く見えるし。
「お前かよ。ヘッボ」
「あれだよ!水道に落ちた紙を手加減して投げたのに、取れなかった君が悪いっ」
「水道!?お前、きったねーことすんなよっ」
「キャー追っかけて来んなぁっ」
教室を飛び出した城薗を追いかけるように、俺もイスから立ち上がって駆け出した。


