「ふぁー、ねっみ」
朝。いつものように大きなあくびをしながら駅へ向かう。俺の家から駅までは徒歩5分。あまり乗り過ごすことはないかな。
だって、アイツが乗る時間帯に合わせて、電車に乗るように毎朝超必死だから。
「快二おっはよー」
准が遠くで大きく手を振る。
「お前さ、毎回それやめろ。恥ずかしいんだって」
「わりーって。んな拗ねんなよ」
そんな言葉を交わしながら、改札を抜けてホームへ向かう。
「今日提出の数学の課題さ、(2)が難しくなかった?」
「……何の話だ、准」
「快二、その話だと課題やってねーな?」
准の言葉に一筋の冷や汗。
「お、お前とはクラスが違うから、提出は別な日じゃねーの?」
「残念。全クラス今日提出だって。今の成績見てテスト作るらしいし」
慌てて言い訳をするも、准から衝撃の事実を伝えられた。
マジかよ。
そんな課題があったこともだけど、そのプリントすらもどこへ姿を消したかわかんね。


