「快二お疲れー!」
顔に滴る水滴を拭きながら部室へ向かっていると、後ろから准の声がした。俺はゆっくりと振り返る。
「お疲れ」
「いやー、今日も暑かったな」
准はマネージャーでも筋トレやアップはするし、練習にも参加するから選手同然だ。
「それにしてもさ、快二最近調子悪そうだけど、何かあったのか?」
何度も監督に注意されたから、准がこう思うのも無理はない。
「暑さで頭がイカれたんだろーな」
「ははっ。お前それ以上バカになったらどうすんだよ」
おいこら、傷つくようなこと言うなよ。それから部室で着替えを済ませて、いつものように駅まで准と歩きだした。
「城薗さんのこと……だよな?」
校舎を後にしてすぐ話しかけてきた准の言葉に、俺は何も言い返せない。
「ごめん。知ってると思うけど、告白されて断った」
「……知ってる」
「そっか」
知りたくなくても、その場で見てたし。


