いつもの城薗の口調に戻りつつある。だけどさ、お前その受け取り方を変えてみろ。俺がお前を好きってのが大抵分かると思うんだけど?
「やっぱりさっきの撤回!アンタはいい奴じゃないっ」
俺はお前のいい奴になりたいんじゃない。
お前の……好きな奴になりたい。
「おい高橋!ボーッとしてんな!次、お前の番だぞ」
「あ、はい」
数日後の部活中、監督から注意を受けて我に返った俺。何を考えていたわけでもなくボーッとしつていたのだ。駆け足で監督から放たれるボールを取りに行った。
「はい、もう一本!」
おかげでしばらく俺は、監督からしごかれる羽目になったのだった。
「あー!疲れた!」
秋だけどまだまだ暑さは残っている。部活終了後、ミーティングを終えると、俺達部員は水道へダッシュし、汗だくになった顔に水をぶっかける。
こればかりは無礼講で、先輩後輩関係なしで先を陣取れるから、みんな競争率は高い。


