【短】流星☆BOY〜星に願いを〜

 肩と首の痛みに、ふと顔をあげる。

そこには、見守るように白河さんが見ていてくれた。


 そんなことにあたしは胸が熱くなると同時に、焦り始めた。

あたしが尋常じゃないほどの集中力をみせたのか、時間と経過なんて気にする余裕もなかった。


彼女の背後で夕日を吸い込み終わったことを示す時計は、間もなく、縦に一直線になりかけていた。


「や、やばい!」


 あたしのいきなりの大声に白河さんはビクンと肩を震わせた。

「…ど、どうしたの?」

「もうこんなに真っ暗じゃない!」


 慌ててブレスレットを中断させて席を立つ。

教室の窓ガラスの外はすでに藍色の空で、風に吹かれる木の葉が痛そうだった。


「白河さん、遅くまでつき合わせちゃってごめんなさい!」

 顔の前で両手をこすり合わせる。

とにもかくにも、急いで片付けなければ。


「あたしは大丈夫だけど…橘さんこそ、平気なの?」

 いつの間にか窓際に移動していた白河さんは、ガラスにそっと手をかけて外を見ていた。

そおっとブレスレットを小さなビニール袋に入れると、あたしもそこへ駆け寄る。


 薄暗い校門では、部活動を終えただろうジャージ姿の生徒たちが帰路につく姿。

その中に、キラリと一番星のように浮いている少年がいる。



「彼……『番犬くん』でしょ?」