【短】流星☆BOY〜星に願いを〜

 どんよりとした雲が、空を覆っていた。

冷たい風は容赦なくあたしの横を吹き抜けて、嘘みたいに冷やしていく。



 零れてしまった、一粒の涙。

でも、その熱い筋をひんやりと温度を下げたのは、天からの贈り物だった。


 見守っていたベティが、天を仰いだままあたしを通り越す。

何かに魅せられるように優しく呟いたベティの声が、やけに耳に響いた。



「………雪、だ…」


 ふわり、と天使の羽根のように柔らかく舞い降りた粉雪。


 リュウセイの、忘れ物。

そんな気がしてならなかった。


 きっと本人が見ていたら、きゃっきゃと嬉しそうに笑うんだろう。

それも今では、幻でしか見れないけれど。


 目の前では一緒にたたずむ金髪の少年だけ。



「…よかったのかよ……?」


 手のひらに消えていく雪を見つめながら、ベティは背中越しに尋ねてきた。

でも、あたしは声に出せなくて、思わず下唇をかみ締めていた。


 引き止めていたら、リュウセイはあたしの望みをかなえてくれる。

それこそ、土壇場で気づいてしまった、あたしの気持ちすら見通してしまっていたのかもしれない。


 だけど、そんなことをしたら、結局後悔するのはあたしと……他でもない、リュウセイのはずだ。