【短】流星☆BOY〜星に願いを〜

 どれくらいその温もりを感じていたのか。

たった一瞬のような、数時間のような、そんなひととき。


 わざとらしい、ゴホゴホという咳払いが聞こえ、あたしはすぐさま突き放すように身を離す。


 ベティも一緒にいたことすら忘れていたなんて。

恥ずかしさでうつむいたあたしの髪は、ふわりと暖かさを増した。


「じゃぁいってくる」

 リュウセイははにかんで、ピアスをかちかち回し始める。


「も、もういくんだ…?」

 さっきまでとは打って変わった反応に、あたしが逆に戸惑ってしまった。

いつもみたいに平静を装うのに必死だったくせに。


 あたしは嫌になるくらい、とことん素直じゃないみたいだ。


そんなあたしを見透かしているかのように、リュウセイはあたしを覗き込んでくる。



「早く終わらせて…ヒメリのところに戻らなくちゃ」


 当たり前のように笑うリュウセイ。

例えその言葉が嘘になってしまっても、あたしは嬉しかった。


「…うん、待ってる」

 次に会うまでには、素直になる練習しなくちゃ。


 あたしの言葉は届いたのか、出会ったときみたいにリュウセイはよくわからない言葉を空を見上げてぶつぶつ呟いていた。


 何が起こるかさえ当然わかるはずもなく。

隣にやってきたベティとずっとその様子を見ていた。


 しばらく経つと、ひゅう、と他とは違う冷たい一陣の風が舞った瞬間。

リュウセイの体は次第に蒼い光を纏い始め、空には雲が立ち込めてきていた。