【短】流星☆BOY〜星に願いを〜

 好きな人が、家族だと知ったらどうなるんだろう。

想像すらできず、リュウセイの気持ちの一握りでもわかりたいのにわかってあげられなくて。


 やっぱり胸が苦しいだけだった。



「そういうことか」


 ザッ、と足音が急に背後から聞こえた。

あわてて振り向くとブランコを吊るす空色の鉄パイプにたっている人影。


 ウェーブのかかったきれいな金糸のような髪をなびかせている少年は、紛れもないベティだ。


「ベティ…っ」

 リュウセイの声とともに、ベティは身軽にヒョイと飛び降りてきた。

身体をすっと起こすと、裾についてしまった砂を軽くはたきながらベティは続けた。


「確かにリュウセイの母君とリゲルはきれいな黒髪だもんな」


 すべてパズルのピースがはまった、とても言いたげにベティはうなずいている。

リュウセイは聞かれたくなかったみたいで、苦虫をつぶしたような顔になっていた。



「だから…あんなに嫌がっていた旅も引き受けたんだな?」


 否定もせず、こぶしを握ったままリュウセイはうつむいてしまった。



 ベティが来てから、ずっと思ってた。

嫌なこととか苦手なことがあると、リュウセイはよく泣きついては来た。

でも今回みたいに、あからさまに嫌がるリュウセイは初めて見たから、あたしは驚いたんだ。


 それは他でもない。

誰にも言えない秘密を持って、誰も傷つけないようにしてきたからなんだ。



 リュウセイの、大切な人たちを守るために―……。