【短】流星☆BOY〜星に願いを〜

 廊下からは人の話し声が響き始めていた。


 図書室にもあれから数人やってきたけど、あたしたちはすこし離れた小さなテーブルを囲っていたから気づかれないで済んでいた。



 …全て、先輩のおかげ。


「それにしても、リュウセイくんに『恋人』かぁ」


 大分あたしが落ち着くと、背もたれに体重を預けて天を仰いだ先輩。

ぽつりぽつりと話したあたしの言葉を、一生懸命拾って聞いてくれていた。


 宇宙人ってことはまだ秘密にしているけど、うっかり話してしまいそうになった。


「あたし…ホント、ばかですよね」


 目じりにたまった涙を指で拭う。

時間が経つにつれて、なんだか可笑しくなってきてしまう。


自嘲気味のあたしに先輩は優しく笑ってくれた。


「そんなことないよ。…それだけ一生懸命スキなんでしょ?」


 頬杖をついた先輩は、確認するように覗き込んできた。




 ……―あたしは。

それだけ一生懸命になれているんだろうか?


 目の前の、かつて想っていた人に一生懸命になれなくて…たくさん後悔した。

だけどリュウセイに勇気をもらって、あたしは精算したんだ。


 まだまだ不器用すぎるあたしが納得できるほど一生懸命になれているのかなんて、到底わかるはずもない。


 あたしが戸惑っているのがわかるのだろうか、先輩は安心させるようにずっと笑ってみてくれていた。




 ………―でも、待って?