落ちる恋あれば拾う恋だってある

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二次会の会場の暑さに耐えかねてテラスに出たものの、ドレス姿では夜になると少し冷える。

高校時代の先輩と彼氏さんの結婚式に呼ばれ、朝から慣れないヒールを履いて足が悲鳴をあげている。

先輩と彼氏さんは多くの人に囲まれて話すことができそうにない。時間的にそろそろお開きになる頃だ。
二次会まで来ているかもしれないあの人に見つからないように先に帰ろう。今会っちゃったらまた現実を見なきゃいけないから。

会いたくない人物を避けるために一緒に来ていた高校の友人の居場所を探して会場内を見回した。そうしてうっかり会いたくない本人と目が合ってしまい、人混みに紛れて逃げようとしたときにはもう遅かった。

「俺を探してたの?」

椎名さんが私の横に立った。

「……そうですよ」

「珍しく素直じゃん。俺も夏帆ちゃんを探してたよ」

探していたのは本当のこと。でもそれは会いたくないから隠れるためだ。

普段会社のロゴ入りシャツを着ているところを見慣れているため、スーツを着崩した椎名さんは一段とかっこよく見える。

彼氏さんの大学の同期生なら、今日もしかしたら椎名さんも招待されているかもしれないとは思っていた。

披露宴会場で椎名さんをすぐに見つけた。女の人と楽しそうに話す椎名さんを見たら、なんだか腹立たしくなってきて近づきたくなかった。
やっぱり女の子なら誰にでもいい顔をしてニコニコ笑うんじゃん、なんて思っちゃって。
私がそんなことを思う資格がないのだからおかしいのだけれど。

「夏帆ちゃん今一人?」

「高校の友人と一緒です。もうすぐ帰ろうとしてたところで」

「もう帰るの?」

「知り合いは友人一人だけで居心地悪くて……」