「分かりました。私、今夜はご飯を食べたら帰りますね」
「そうなの?」
「今週は締め日がありましたし疲れちゃって」
「そっか……分かった。先にお風呂入っちゃっていい?」
「どうぞ」
修一さんはバスルームに行ってしまった。
私が疲れていると言っても外食にはしないで、労う言葉もない。
本当に私に会いたいと思ってるの? ただ家事をしてほしいだけなんじゃないの?
修一さんを疑うことばかり頭に浮かぶ。
「うん、やっぱうまいね」
たらこを絡めて簡単に味付けしただけでも修一さんは美味しそうに食べてくれる。いつもならおいしいと言ってくれたら嬉しいと思えるはずだけど、今の私には響かない。
「ごちそうさまでした」
修一さんと私の食器をシンクに置いた。迷ったけれどスポンジを取って洗い始めた。
これを洗ったら帰ろう。食器は私も使ったから洗うけど、洗濯も掃除も私がやる必要はない。
「じゃあ私は帰ります」
「本当に帰るんだ?」
カーディガンを羽織る私に修一さんは声をかける。
「泊まっていかないの?」
「ごめんなさい、疲れちゃって」
「残念、夏帆の朝ごはん食べたかったのに」
また? 私が作るの?
不満や我慢や疑問がついに抑えられなくなった。
「私って修一さんの何ですか? 家政婦?」
「え?」
「私はご飯を作って掃除して洗濯する便利な女ですか?」
「は? ちょっとどうしたの?」
修一さんは慌てている。普段見られない様子の修一さんが見れて面白いところだけど、今の私は笑わない。
「都合のいいときに呼び出して家事をやらせて、私が疲れてても気遣ってくれないんですか?」
「そんなことないよ。ごめんね、夏帆も大変だよね」
私をそっと抱き締めた。その行動はいつもの優しい修一さんだ。



