数年前に容姿を中傷されて変われた時とは違う。大事な人の傍にいることを否定されて笑われた。私だけじゃなく修一さんも悪く言われている。申し訳なさに潰される。
泣いている時間が数分にも数時間にも感じられた。
「落ち着いた?」
椎名さんは階段に座ったまま私が泣き止むのを静かに待っていてくれた。
「すみません……変なところをお見せして……」
「別に。泣き顔も可愛かったよ」
「だから、冗談はやめてください」
「もういいよ。勝手に冗談だと思ってて」
椎名さんは少し不機嫌そうな顔をした。
「でも、椎名さんの言う通りかもしれません」
「何が?」
「私、何も深く考えなかった。私と付き合って修一さんがどんな目で見られるのか」
「そんなこと向こうだって考えてないよ。夏帆ちゃんが好きなんだから。人にどう思われるかを気にして付き合わないでしょ」
「修一さんのことが少し重いんです。そう思っちゃう自分が嫌で……」
「重いの?」
仕事もできて信頼されててかっこいい。私とは正反対で眩しい。
「修一さんは素敵な人で、なのに私と付き合ってくれて。私にはもったいなくて、感謝しなきゃいけないのに修一さんといることがプレッシャーなんです……」
家に来てと言われるのと同時に、あれが食べたいこれが食べたい、行く度に当たり前のように洗濯カゴが山盛りになっている。
「向こうは私を呼ぶのに、私が求めたときには電話に出てもくれない」
自分に都合のいいときだけ、なんて思っちゃって。
「今は仕事中なんだよ? 電車の中だから出られないのかも」
「折り返しもしてくれない!」
「でも夏帆ちゃんを大事にしてくれるんでしょ?」



