落ちる恋あれば拾う恋だってある


「それはその二人がお付き合いしてるからじゃないんですか?」

横山と付き合っているんだから自然なことだと思うのだが。

俺が夏帆の話に突っ込んできても三人は不審に思わないほど面白がっている。

「付き合ってるはずないです。だって相手の男の人は別の社内の子と付き合って一緒に住んでますから。あの子がストーカーみたいなことするから、二人の関係も気まずくなっちゃってるらしいもん」

「横山さんも迷惑してるらしいしね」

「え? 私もう宇佐見さんと別れたって聞いたよ? 横山さんが振ったって」

「マジで!?」

宇佐見? それはさっきの女のことか?

「じゃああの子が別れさせたの?」

「そう。横取りしたらしいよ」

三人は俺の存在を忘れたかのように噂話に夢中だ。

「でも私、その前に二人は既に別れてたって聞いたよ」

「そうなの?」

「私が聞いたのは北川さんが寝取ったって」

「何それ最低! 北川さんもだけど、横山さんも浮気したってことでしょ?」

「てか北川さんが横取りしたって話誰が言ったの?」

「実は……直接宇佐見さんから……」

「えー! 宇佐見さんがそう言ったなら横山さんが浮気したんじゃん!」

ぎゃあぎゃあと騒ぐ三人に呆れながら、俺は「失礼します」と言って台車を押して夏帆を追った。

今ので大体の話は分かった。
恐らく夏帆は宇佐見に嫉妬されたのだ。夏帆が寝取ったわけでも、強引に別れさせたわけでもない。
あいつ、くだらないことに巻き込まれたな……。

俺は夏帆を探して通路を歩いた。