「夏帆が一番だよ」
「はい」
なら大丈夫だよね。完全に終わってると彼が言うから。
宇佐見さんを怖いと感じるのは、私が修一さんの恋人でいることに自信が持てないからだよね……。
修一さんが隣で動く気配で目が覚めた。枕元のスマートフォンを見るともう朝の9時を回っている。今日は日曜だからいいものの、普段なら発狂する時間だ。
昨夜も修一さんは私を気遣って求めようとはしなかった。体中に修一さんの指が触れたけれど、私が緊張しているからとその先に進もうとはしなかった。
繋がりたいと思っている一方で初めての経験に対する恐怖があった。そのことが修一さんに呆れられてしまうのではと怖かった。
体を丸めて寝ている修一さんに寒いかなと毛布をかけるとゆっくり目を開けた。
「おはようございます」
「おはよう……今何時?」
「9時です」
「もうそんな時間なんだ。お腹すいたね」
「何か作りますか?」
「うん……パンがあれば」
「分かりました……」
昨日カレーの材料と一緒にパンも買っておいた。また朝ごはんを作ることになるんだろうな、なんて思っていたから。
「そうだ、今度また煮物作って。あとハンバーグも食べたい」
「分かりました……」
修一さんが気に入るような味のハンバーグにできるかな? これでも料理って結構気を遣うんだよね……。
朝ごはんを食べてまた洗濯をした。
何度も家事をこなすうちに修一さんは忙しいからできないのではなく、家事が苦手で嫌いなのだと気づいた。
宇佐見さんと別れたのは「家事分担も揉めた、価値観が違うって気づいた」と言っていたけれど、少しだけ原因が分かった気がした。
彼がだらしなくても、適当でも、私がカバーすればいいか。
このときの私はそう思った。



