ご飯を作って掃除して恋人の家に泊まるなんて、私も人並みの恋愛ができてるじゃん、とは思う。
修一さんと体を繋げることは嫌じゃない。嫌じゃないけれどやっぱり緊張してしまう。男性と付き合った経験がないからこんな時どうしたらいいのか分からない。
なんて思ったらふいに宇佐見さんの怖い顔が浮かんでしまった。彼女と修一さんは一緒に住んでいた。
宇佐見さんも私のように修一さんのためにご飯を作って、掃除して、修一さんと同じベッドに寝てたんだよね……。
私が感じる幸せを宇佐見さんも感じていたはず。それなのに別れてしまって……。
もしかして修一さんを私が取ったと勘違いしてるのかな?
「修一さん」
「ん?」
テレビを見る修一さんは私を振り返った。
「どうして宇佐見さんと別れたんですか……?」
思いきって聞いた質問に修一さんは目を見開いた。
「相手が宇佐見だって知ってるの?」
「はい……」
社内では有名な話だ。宇佐見さんが修一さんと付き合っていた頃自分から触れ回っていた。
「ごめんなさい、変なこと聞いて。答えたくなかったら答えなくていいんですけど……」
元カノのことを聞くなんて重たい女かな……?
修一さんは迷った顔をしたけれど「お互い仕事が忙しくて、プライベートでなかなか会えない生活をするうちに気持ちがすれ違ったんだ」と言った。
「一緒に住んでも生活リズムが違ってきてたし、家事分担も揉めた。そのうち価値観が違うって気づいた」
「そうですか……」
「宇佐見が気になる?」
「今も修一さんと同じ部署ですし……」
私を見る目が怖いです。って言いたいけれど言いにくい。
「心配ないよ。もう完全に終わってるから」
修一さんは見慣れた優しい顔で笑う。



