「あの植物を手入れしてくれてる人かっこいいよね」
「ねー! 爽やかでイケメン」
でも中身はチャラ男ですよー。
そう言ってやりたかった。
悪い人ではない。だけど苦手。
私のためを思って言ってくれてるんだろうけど、あの人の言葉は自信のない私からさらに自信をなくす。
あんな風に自分がかっこいいことを自覚して自信を持って、怖いものなんて何もないって人には同じように自信に満ち溢れた女性が似合う。
「この間お花のパンフレットもらっちゃった」
「母の日のやつ?」
「ううん、開店祝いのスタンド花の写真が載ってるやつ」
私には花のカタログをくれなかったのに。人を見て対応を変えるんだから……。
スマートフォンが震えたのを感じて見ると修一さんからLINEがきた。
『今日来る?』
合鍵をもらってから数日たつけれど一度も使っていない。
『修一さんの都合がよければ行きます』
『待ってる』
『何か食べたいものはありますか?』
『カレー』
『分かりました』
定時で帰って買い物して、煮込んだらちょうどいい時間かな。
もしも修一さんとこのまま長く続いたとして、一緒に住んだらこんな感じかな。何時に帰るか連絡して、食べたいものを聞いて作ってあげる。
想像してにやついた顔のままスマートフォンから目を離して前を向くと、私をじっと見る宇佐見さんと目が合った。テーブル三つ分先にいるけれど、ひたすら怖い顔で私を見ている。その顔に呼吸が止まりそうになる。いつの間にここに来ていたのだろう。
今日出勤してたんだ……。
私は急いでお弁当の残りを口に入れると、食堂から逃げるように出た。
宇佐見さんという存在がとにかく恐ろしかった。



