「あんたはいつも……私から全部奪うんだから……ムカつくクソ女」
「あの……」
宇佐見さんの肩が震え私を睨みつけている。その目は今までと比較にならない程の悪意に満ちていた。
突然宇佐見さんは走りだし私に一直線に向かってきた。逃げよう、避けようと思う前に私の目の前まで来ると私が抱えた花束を奪い、頭上に掲げると私の顔に振り下ろした。
バシッと音がした。その瞬間左の頬に軽い痛みが走った。
「え?」
私は手を頬に当て、訳が分からず固まった。
「やめろ!!」
椎名さんが怒鳴って私と宇佐見さんの間に入り宇佐見さんの腕を掴んだ。
「うるさい! あんただって悪いのよ!」
宇佐見さんは椎名さんの手を振り払い、握った花束を投げ捨てた。そして手に持ったビニール袋を椎名さんに向かって投げつけた。
硬いものがぶつかる音がする。椎名さんは私を庇いながら腕でビニール袋を受けた。
「っ!」
椎名さんは腕に反対の手を当てて小さく呻いた。地面に落ちたビニールからは割れた陶器の破片と土が見える。それを見た瞬間、脳裏に割れた陶器鉢が浮かんだ。
「だめ! そんなものはやめて!」
私は叫んだ。宇佐見さんは恐いくらいの笑顔を見せた。
「あんたなんていなければよかったのよ」
「ふざけんなよ」
椎名さんが腕に付いた土を払いながら静かに言い放った。
「夏帆のせいにしてんじゃねえよ。プライドばっかり高くて周りを陥れてきたあんたが悪いんだよ」
「うるさい!!」
椎名さんの言葉に更に取り乱した宇佐見さんは地面に落ちた破片を土ごと拾って更に椎名さんに投げた。それを避けた椎名さんは後ろに下がり、私とぶつかった。
「夏帆、逃げろ!」
「でも……」
椎名さんの目に土が入ったのか片目を抑えている。



