落ちる恋あれば拾う恋だってある




総務部に戻りながら丹羽さんは宇佐見さんに対して文句を言っている。それに適当に相槌を打ちながら私は彼女のことを考えた。

どうして宇佐見さんはあんな酷いことをしたのだろう。自分がやったと分かったら会社での立場が悪くなる。プライドが高そうな宇佐見さんはそんなことをわざわざやる意味あるのかな? また椎名さんを呼ぶため? 植物を傷つけたら、きっと椎名さんは怒るし悲しむだろうな……。

「夏帆ちゃん?」

いつの間にか前を歩く丹羽さんとの距離が離れていた。

「あ、すみません……」

「大丈夫?」

「はい。大丈夫です……」

「気にしちゃだめだよ」

「え?」

「宇佐見さんのこと。あの人は病んじゃってるんだから」

「病んじゃってるって……」

丹羽さんの言葉に笑ってしまった。

「ほんとだって! 最近の宇佐見さんはちょっとおかしいって旦那も言うし」

同じ営業推進部の旦那さんも言うのだから、やっぱり宇佐見さんはどうかしているらしい。

「そうですね……こっちが影響されて落ち込んじゃだめですよね」

「そうそう」

1ヶ月の停職処分か。しばらく宇佐見さんの顔を見なくていいと思うと気が楽だ。





「北川、お茶持ってきて」

「分かりました」

部長から内線をもらうと、ついに来た……とゆっくりと立ち上がった。

「丹羽さん、第二会議室に行ってきます」

「よろしくねー」

給湯室で人数分のお茶を淹れるとエレベーターに乗って第二会議室まで行く。

「失礼致します」

ドアを開けると部長と専務、そしてアサカグリーンの椎名さんとその上司の四人が座っていた。宇佐見さんが滅茶苦茶にした観葉植物とその陶器について状況説明と金額の相談をするのだ。