落ちる恋あれば拾う恋だってある


「防犯カメラに宇佐見が鉢を割るところが映ってた」

「防犯カメラ?」

「この会社にはエントランスと、役員通路と総務部の通路の天井にカメラがあるんだ。総務部と役員フロアには金庫があるからな。まあ他にもあるけど言えないな」

「知らなかったです」

「その映像に鉢をハンマーで叩き割る宇佐見が映ってる。枝も葉も滅茶苦茶に引きちぎってるところもはっきりな」

部長は手で壁に沿って下ろされたスクリーンを指した。先ほど役員とその映像を見ていたようだ。

「さっき宇佐見本人をここに呼んだんだが、自分がやったと認めたよ」

「そんな……」

「彼女は処分されるんですか?」

丹羽さんは冷静に受け止めているようだ。私は宇佐見さんの愚行に頭がついていかないのに。

「明日から1ヶ月停職処分だ。あと弁償する鉢の代金も宇佐見の給料から差し引く。まあ当然だな」

宇佐見さんの言動は少しおかしいと思っていた。まさかここまで理解できないことをするとは思わなかったけれど。

「この事は明日正式に辞令が出るまで他言無用だ。まだ役員連中と総務部では課長しか知らない。だから丹羽、まだ旦那にも言うな。お前も旦那から宇佐見のことは色々聞いてるとは思うけど、これは言うなよ」

「分かりました」

「アサカグリーンとの話は俺がやる。丹羽も北川も今までと変わらずにな」

「はい」

「もしかしたら今日中に割れた鉢をアサカグリーンに確認に来てもらうことになるかもしれない」

「はい……」

もし椎名さんが悲惨な状態の植物を見たらショックを受けるかもしれない。
彼には見せたくない。でもこれは仕方がない……。

「以上だ。業務に戻っていいよ」