落ちる恋あれば拾う恋だってある


第一会議室に入るのは初めてだった。役員会議にしか使われないそこは役員フロアの下の階にある。

私と丹羽さんが乗るエレベーターが会議室の階に着き、ドアが開くと目の前には社長、副社長、専務とそれぞれの秘書がドアの前に立っていた。

「お疲れ様です……」

役員の方々に前を開けてもらいエレベーターを降りると、役員がエレベーターに乗るのを見届けた。

「え、何? 緊急会議だったの? 部長も出席して?」

事態を不安に思いながら第一会議室まで通路を歩いていると、先にある会議室のドアが開き中から営業推進部の部長が出てきた。

「お疲れ様です」

「お疲れ様」

総務部長と同期の営業部長は大柄で人の良い方だ。営業部長は私と丹羽さんに「すまなかったね」と声をかけた。

「あの、何のことでしょうか?」

「詳しくは中で話すだろうけど、総務部にはいつも迷惑をかけてすまない」

「あの……」

明るい雰囲気とはほど遠く、今の営業部長は疲れた顔をしてエレベーターに乗ってしまった。

「何? 今の……」

「さあ……」

不思議に思いながら私たちは第一会議室のドアをノックした。

「失礼致します」

会議室の中には総務部長一人だけが座っていた。

「悪いな。ちょっと内密の話があってここまで来てもらったんだ。まあ座って」

円形のテーブルを囲んで部長と向かい合うように座り、丹羽さんが私の隣に座った。

「今朝の観葉鉢を割ったやつが分かった」

「え!? こんなに早く……誰ですか?」

「宇佐見さんですよね」

「え?」

驚く私の横で丹羽さんは静かに部長を見て宇佐見さんの名前を出した。

「そうだ」

「やっぱり……」

丹羽さんは犯人を予想していたのだろう。でもどうして宇佐見さんが?