落ちる恋あれば拾う恋だってある




出社してエレベーターを降りると私の足は止まった。通路に置かれている観葉植物の陶器の鉢が割れていた。
広げた新聞紙の上に置かれたそれは、割れている陶器の間から土がこぼれ、葉がむしり取られて枝が根本から折れていた。

「なに……?」

先日椎名さんが幸福の木から新しい種類に変えたばかりだ。名前は分からないけれどこれも綺麗な葉だった。それが今は見る影もない。
何があったのだろう。植物自体がめちゃくちゃになってしまってはアサカグリーンに弁償しなければならない。

「おはようございます。あの通路何があったんですか?」

フロアに入ると部長と課長、丹羽さんが深刻な顔で話し込んでいた。

「おはよう夏帆ちゃん。朝来たら観葉植物がああなってたの。取りあえず新聞の上に置いて土とか破片をまとめておいたんだけど……」

「何でそんなこと……誰かが割っちゃったんでしょうか?」

「他のフロアに置いてある鉢もいくつか同じように割られているの」

「え!?」

ということは、誰かが故意にやったということだろうか。

「北川、観葉が各フロアのどこにいくつ置いてあるかの明細はあるか?」

部長に言われてアサカグリーンからの納品書の内訳を渡した。

「悪いが他が割られていないか全部確認してくれ。もし割られてたら取り敢えず同じように新聞の上に載せとけ。片付けるなよ。現場保存だからな」

「はい」





社内を見回った結果リースしている全ての植物を確認し、無事だったのはエントランスに置いてある鉢と生花アレンジメントだけだった。人が必ずいる場所では何もできなかったようだ。外部の人間ではなく内部の人間の仕業だと思われた。