落ちる恋あれば拾う恋だってある


「そうだね……首と、胸と、お腹。あとここにも」

握られていた手が腰まで下りた。そのままスカートの上から太ももを滑る。

「椎名さん……!」

嫌なことはしないと言ったのに早速手を出されている。呆れた私は椎名さんの手の皮膚をつまんだ。

「いてっ!」

椎名さんは慌てて体を離す。

「ごめんごめん」

椎名さんも顔が赤い。軽い言葉とは反対に照れている。
だからこそ、まだ駄目だ。椎名さんのものになるには早すぎる。

「もう少しだけ、待っててくれますか?」

この胸の痣が消えるまで、私はこの人に抱かれることができない。

「うん。もうだいぶ待ってるし、今更待てないなんてことないから」

「ありがとう……ございます……」

「夏帆ちゃん、頑張ったね」

椎名さんの手が頭を優しく撫でた。
ずっと頑張ってきた。ずっと耐えてきた。それを誉めてもらいたかったわけじゃない。でも「頑張ったね」の言葉が胸にしみる。

椎名さんの顔が動いて私の耳の上に唇が触れた。

「あの……椎名さんは女の子なら誰にだってこんなことするんですか?」

「は?」

椎名さんは動揺した表情を見せる。

「色々と慣れていそうなので……」

「正直言うと……前は遊びで付き合ってる子はいたけど……今はいないし……」

珍しく声には力が入っていない。

「だからこんなこと誰にでもするわけじゃないよ……」

「今日も女の子とご飯のつもりだったのかなとか思っちゃって」

「違うよ、男とだから。同僚の」

ちょっと怒り気味に言うと、私から顔を逸らしてしまった。

「女の子だったとしても、こうして夏帆ちゃん優先で来てるし……」

「そうですよね……ごめんなさい……」