「椎名さん……私……」
「俺、期待していい?」
「え?」
「今夜俺に電話してきて、こうして腕の中に居てくれるってことは期待していいの?」
「あ……」
軽率な行動だった。恋人と別れたばかりで男性と二人きり。
私はただ、椎名さんに会いたかった。それしか考えていなかった。彼にはもう警戒なんてしないから。それが私の答えなんだと思う。
私の右手が椎名さんの左手に包まれた。泣いた私の手を握ったときのように、温かいその手の感触にドキドキする。
椎名さんは私の右手に口付ける。そのまま唇を手首に滑らせ、色っぽい顔を向けて首にキスをする。
「んっ……椎名さん……」
「俺なら夏帆ちゃんの嫌なことはしないって誓うよ」
ブラウスの襟を広げ、修一さんに吸われた肌に椎名さんはそっと手を触れる。
「夏帆ちゃんを俺だけのものにしたい」
体が熱くなっていくのを感じる。無理矢理奪ったりはしないと言ったけど、励まされて、優しい言葉をかけられて、その手で優しく触れられたら、どんどんあなたを好きになってしまう。だってこの人はずっと私の味方でいてくれた。
「こんな私でいいんですか? ブスだし、暗いし、椎名さんに頼りっぱなしだし、すぐ泣くし……」
椎名さんは私の額にそっとキスをする。そうしてまたぎゅっと抱き締める。
「泣き虫でもいいよ。そのままの夏帆ちゃんがいい」
耳元で囁かれる言葉に体の力が抜けていく。
「弱いところ、俺には見せていいから」
「はい……」
椎名さんの傍にいたらどんな悩みも乗り越えられそうだ。
「夏帆ちゃん、このキスマーク消えたら、俺が新しく付けてもいい?」
大胆な言葉に顔が真っ赤になる。
「キ、キスマークだけなら」



