「正社員になることを喜んでくれると思ったので……」
「僕は夏帆を愛してる」
修一さんの手が私の頬に触れた。
「でも私と修一さんは考え方が違いすぎます」
「じゃあこのままでいよう」
「え?」
私に近づき抱き締められた。
「結婚しなくてもいいからこのままでいよう」
「え? どういうことですか?」
「愛してる夏帆。このまま恋人でいよう」
抱き締める腕は力強い。
「一緒に住もう。結婚はしなくてもいいからそばにいてほしい」
この人は甘い言葉で誤魔化して私に今まで通り家事をやってもらうつもりなのは変わらないということでいいのだろうか?
「私は……未来のない関係は悩みます……別れましょう……」
「夏帆……離れないで」
焦る修一さんを見て、私なんかに縋る姿にこっちが動揺してしまう。
「夏帆……」
ひたすら私の名を呼び必死になっている。
「お願いだから……」
この言葉に私の目からは今にも涙が溢れそうだ。
「修一さん……まだ私は必要ですか?」
「当たり前だよ。愛してる」
私はまだこの人に縛られるんだ。
ついに涙が溢れた。
「っ……うっ……」
嗚咽を堪える私の唇に修一さんはキスをした。久しぶりのキスにも余計に悲しさが増す。
これでいいのだろうかと不安が頭の中を駆け巡る。
「修一さん……別れてください……私は家政婦にはなれません」
この言葉で修一さんの表情が変わった。
「僕が一度でも家政婦扱いした? 料理も掃除も洗濯も、夏帆が自分からやってたんでしょ? だから僕は夏帆に任せてたんだよ?」
低い声で見たこともない怖い目を私に向ける。



