「ごめんね。忙しくてなかなか会えなかったね」
「いえ」
「ご飯食べた?」
「まだですけど、すぐに帰りますから」
「…………」
修一さんは私の顔を見て何かを悟ったのか「先に着替えるね」とベッドルームに行った。
スウェットとTシャツに着替えた修一さんは私の目の前に座った。
「…………」
「夏帆?」
本人を目の前にすると何と切り出していいのか迷ってしまう。
「修一さん……あの……」
「うん。どうしたの?」
私の言葉を待ってくれる修一さんに覚悟を決めた。
「修一さんは私が腰掛のつもりで働いていると思ってるかもしれませんが、結構毎日必死なんです」
修一さんは何も言わず私の言葉の続きを待っている。
「だから多分修一さんとは生きる上での価値観が違います」
「うん……この間は夏帆の気持ちを考えずに腰掛なんて言ってごめんね」
修一さんは私に頭を下げた。
「私と今後どうしたいですか?」
「僕は、夏帆と結婚して家庭に入ってもらいたい」
「そうですか……私は仕事をやめる気はありません。正社員にしてもらえる可能性があるので」
「そうなの? それは嫌だな……夏帆には家事をやってほしいし」
この言葉に今までで一番衝撃を受けた。正社員になることが嫌だと言われてしまった。会社での立場に期待して喜ぶ気持ちを修一さんは共有してくれないのだ。
やはり修一さんとは将来のビジョンが平行線だ。
「では別れましょう……」
「え?」
修一さんは動揺している。私の方に身を乗り出した。
「何で? えっ、僕が家庭に入ってって言ったから?」
「はい。私は夫婦共働きの思いでいますから」
母も働いていたし、恵まれた家庭環境とは言えなかった私は専業主婦のイメージ湧かない。



