落ちる恋あれば拾う恋だってある


「そうか……北川は横山との将来をどの程度考えてる?」

突然どうして部長がそんなことを聞くの?

「えっと……」

「もし結婚とか考えてるならこの先ここで勤め続けるのか聞いとこうと思ったんだけど」

「ああ、はい。私は辞めるつもりはありません」

「そうか。なら北川は来年も契約を希望するってことで人事に話し通してもいいか?」

「はい! お願いします!」

やった! これで人事課が承認してくれれば来年も契約更新だ。

「あの……部長、正社員は私には難しいでしょうか?」

「いや、それも話しをしてみるよ」

「ありがとうございます!!」

「俺は今から会議に出る。数時間かかるから定時には上がっていい。何かあれば課長に言え」

「分かりました」

部長が戻るのを見届けると思わずその場で飛び跳ねる。
少しは期待してしまう。もし正社員になれたら雑用係なんて言われなくなるかもしれないから。










『大事な話があるので部屋で待ってます。何時まででも待ってます』

修一さんにLINEをした。深夜になってもいい。とことん話をするつもりだ。修一さんからの返信はすぐにきた。

『今から帰るから』

それを確認して私はカバンからキーホルダーのついた鍵を出すと、2つ付いている鍵の内の1つを外した。この修一さんの家の鍵を使うのは今日で最後かもしれない。
話し合い次第で私は修一さんと別れることを決意した。

修一さんの部屋に入ると相変わらず中は綺麗とは言えない。けれど何も手を付けず座って修一さんを待った。しばらくして玄関ドアが開く音がした。

「ただいま」

「おかえりなさい」

久しぶりに見る修一さんは痩せたような気がする。髪も伸びて肌も少し日に焼けたかもしれない。