自然と顔が下を向いた。社員に私の仕事は雑用だと認識されている。それが堪らなく悔しい。
「それと、俺は宇佐見さんとは付き合わないよ」
「え?」
「夏帆ちゃんがご自由にって言っても、俺はあの人とは付き合わないから」
「あの……」
どうやら先程の宇佐見さんとの会話を聞かれていたようだ。
「聞こえてたんですね」
「人が少ないからドアの外でも声が通るんだよ。多分そこにいた人には全部丸聞こえ」
「どうしよう……」
「宇佐見さんと付き合えませんって言ってきた方がいい?」
椎名さんの声は面白がっている。
「だめです!」
営業推進部の扉を開けようとする椎名さんを慌てて止めた。
「宇佐見さんが俺を狙ってるって早峰で噂になるのも仕事がやりづらいんだけど。俺にその気は全くないのに」
「余計ややこしくなりますから……」
「でも会社であれはまずいでしょ」
確かに問題だ。言い合いをしたことも、内容も、営業推進部という場所も。とにかく部長に報告しなければ。
「夏帆ちゃん仕事楽しい?」
いつかのように唐突な椎名さんの質問に顔を上げた。
楽しいか楽しくないかと言えば……。
「楽しくないです……」
私は雑用係じゃないって自分に言い聞かせて、主張もしてきたけれど。
「私はこの会社には必要ないのかも……」
辞めたい。
そう思い始めていた。
「その会社が一生勤められる会社かもしれないですよ」
「え?」
「君が俺に言った言葉だ。会社に必要だって思ってもらえたら採用してくれるって」
私が? 椎名さんに?
「アサカグリーンの求人票を捨てるとこだった。植物を扱うなんて興味がなかった俺に新しい発見があるかもって夏帆ちゃんは言ってくれた。おかげで俺は今すっげー仕事楽しいよ」



