宇佐見さんは近づく私をちらっと見ると、何も見ていないとでも言うようにパソコンに視線を戻した。
「あの、宇佐見さん」
「…………」
「後ろにあるこの植物なんですが、総務部の通路から動かしたものですよね?」
「…………」
「一言声をかけていただけたら、営業推進部にも植物を置く話を前向きに考えたかもしれませんが……」
「いちいちあなたに許可をもらわなきゃいけないんですか?」
宇佐見さんの言葉には刺がある。私をギロリと睨む目にははっきりと敵意が見えた。
「私じゃなくても、他の総務部の人にでも構いません。リースしているものなので急になくなると慌ててしまいます……」
負けない。今日はこの人に負けたくない。
「総務部に植物は必要ないでしょ。滅多にフロアから出ないんだし、植物を見る頻度も低いんだから」
「いや、そうじゃなくて……」
勝手に動かさないでほしいって言っているだけなのに、まるで営業推進部に持っていって当たり前のような態度だ。
「まあ、あなたは社内を動き回っているから通路の植物を見る機会も多いんでしょうけど」
この言葉は私を怒らせるのに十分だった。
「そんなに私が嫌いですか?」
思わず言ってしまった。宇佐見さんはふんっと鼻で笑った。
「修一さんと付き合っているからって嫉妬ですか?」
私の言葉に今度は宇佐見さんが不快な顔をした。
「嫉妬? あなたに?」
眉間にシワを寄せ、隠すことなく私を睨みつける。
「くだらない噂を流したり、勝手に物を持っていったりしないでください。社内の観葉鉢はリースなんです。金銭が絡むものです」
本当に、嫌がらせも大概にして。
「職場なんですから、お互い大人な対応をしましょうよ!」



