落ちる恋あれば拾う恋だってある


「よかったー! お待ちしております」

「ご迷惑お掛けして申し訳ございません」

「いいえー、よろしくお願いします!」

通話が切れても宇佐見のテンションの高い声が耳に残って不快だった。

車の後ろに積んだ予備の観葉鉢と早峰のオフィスを思い出しながら車を再び走らせた。



◇◇◇◇◇



罪悪感でいっぱいだ。頭に浮かぶのは椎名さんのことばかり。

一度修一さんの家に行こうと思ったけれど、忙しくて何時に帰れるか分からないと言われた。いつ帰ってくるのか分からない家主を待って掃除洗濯をするのは嫌だった。会社でも恋人の家でも雑用をするなんてまっぴらごめんだ。

それから修一さんとは距離を置いた。椎名さんのことばかり考えて修一さんに申し訳なくなってしまうから。

私から連絡を断ったら修一さんからくることもない。最近はご飯を作ってと言ってくることすらなくなってしまった。彼は新規事業を維持することと2号店の準備で忙しいのだ。家が汚くてどうしようもなくなった頃に連絡してくるのかもしれない。

椎名さんへの想いに対して、修一さんへの感情の変化に私は今戸惑っている。

修一さんと付き合っている意味はなんだろう……。生きる上での価値観が合わないのに私は修一さんに必要なのかな? 私にも修一さんは必要?





いつもと違うと感じたのは月曜の朝出社してエレベーターを降りたときだった。
通路に置いてある観葉鉢がなくなっている。私の胸の高さくらいの、最近椎名さんが新しい種類に変えたやつだ。

何でなくなっているのだろう。誰かが動かしたのかな?

丹羽さんに聞いても、部長にも他の総務部の人に聞いても観葉鉢がなぜなくなっているのかは分からなかった。
先週末に退社するまではあったはず。この休みの間に消えてしまったようだ。