落ちる恋あれば拾う恋だってある


「ここには生花を入れるけど、それは緑化でやる。こっちの店の前には観葉鉢を二つお願いしたい」

「これだと緑化チームだけじゃきつくないか? 下請けお願いするの?」

「それでも足りないから来月椎名のところから緑化に何人か借りたいんだけど」

「じゃあ新人二人いいよ。課長につけて勉強させるから」

来月の人員配置を頭の中で考えると、画面のある店舗にふと目がいった。

「うっちー、この店って……」

「ああ、飲食街に椎名が行ってる早峰フーズも出店するみたい。うちでこの店の前の植え込みをやるんだ」

その店の名の横に『担当者・横山』と名前が記してある。

「仕事が順調なようで何より」

つい嘲るような口調になってしまった。夏帆を泣かせるくせに仕事にだけは力を入れているようで気に入らない。

「この横山さんっていう営業だか責任者だかが優秀らしいんだよね」

「まあ、仕事にはストイックなんだろうよ」

「椎名知ってるの?」

「いや、ちょっとね……」

「聞いた話だと、その人将来は早峰の役員候補だってさ」

「そうなの?」

「俺も課長を通して聞いた噂話程度なんだけどさ、早峰の副社長が目をかけてるらしくて。うまく取り入ったってとこかな」

「ふーん……」

容姿も仕事も将来も恵まれて、その上夏帆も手に入れている。
心底腹が立つ。俺は横山が本当に嫌いだと改めて思った。










ピリリリリリ

運転中に社用のスマートフォンが鳴り響いた。車を道路の脇に止めると、スマートフォンを手に取った。
登録名では表示されず携帯の番号だけが表示されていた。顧客からかと思い通話ボタンを押した。

「はい、アサカグリーン椎名です」

「もしもしー、宇佐見です」

宇佐見と名乗られてもどこの誰だかが思い出せなかった。