その手を掴もうとするけど、ロアは泡になって消える。




空を切った手を見て、私は驚いた。



切り傷がたくさんあったから。



どうしてなのかは、不思議とすぐに思い出せた。










私だ。


私が、やったんだ。












記憶が高速で走る走馬灯のように蘇る。



香宮 ロアなんて人間はいない。


全部私が寂しさから生み出した幻想だ。








ロアがくれたものは自分で盗んだもの。


学校周辺で起こってた無差別殺人事件は、私が両親を殺した人を探す為にやった事。


ロアと一緒に寝てもぶつからなかったのは、もちろんロアが幻だったから。