「もー、僕は何回も何回も告白してるのに、あの人応えてくれないんだもん」


リイチ先生は、衝撃の事実と薬のせいで動けない私に語りかける。


「僕も地味ながらに努力したんだよ?勉強したし、外見にも気を使ったさ。なのになんだい?『近寄らないで』だの『気持ち悪い』だの、人を雑菌みたいに扱って」


淡々とした喋りのこの男が、私の両親を殺したの?

信じられない。


「そんでもって、挙げ句の果てに小説家の男、つまり君のお父さんと付き合い、結婚して、君を産んだ」


何、この人……何、こいつ。


「な?君の母さん、最低だろう?僕は被害者。かわいそうなヤツなんだよ。大変だったよー?無差別殺人に見せかけて神谷夫婦を殺すの」

「何がかわいそうだよ糞野郎!!平気で他人巻き込むような精神持った殺人鬼なんざ、私だって嫌だよ!!」


当時、リイチ先生から言い寄られてた母さんも、こんな感じだったのかな。

リイチ先生の眉がぴくりと動く。


「……君のお父さんも、当時そんな感じの事言って、君のお母さんを庇ってたよ」


リイチ先生……いや、もう先生って呼ばなくていいや、こんなサイコパス野郎。

目の前の男の私を見る目が、変わる。

舐めるような、死んだ魚を見てるような目。