駅を出て走る。

本当に最悪だ。

なんでこんな事の為にオレが焦らなきゃならないんだ。

どうせ……

どうせオレが守りたかったモノは、既に崩壊してるのにな。

「ハァ………」

まぁ、せめてもの悪足掻きの為の、か。

これ以上殺したくは無いもんな。

どうせ、ほとんど死んでるようなもんなのにな。

「意地、か…………」

嘆息。

着いた。

あの男のマンション。

一瞬、足が躊躇する。

それでも。

オレはマンションに踏み込んだ。