「じゃあ…
始めるで?
スタート!」

静の言葉で
華麗な勝負が始まった…

「お母さん…
あの、お姉ちゃん…
蝶々みたい!」
「あの兄ちゃん…
さっきの姉ちゃんより
息上がってる…」
「何か…凄い勝負だ…
例えで言うなら…虎と龍…」

観客が二人を見て
言いたい放題を言ってるが…

始まって三十分…
どちらとも…点を入れていない…

「そ…そろそろハァ
終わりにせんとな…ハァ」
「まだ…ハァ…まだですよハァ…」

お互いが凄い汗で…
息も上がってる…
多分…気を緩めたら…

終わりだ…

そう思ってると…
泊斗さんの気が少し崩れた…

私は思いっきり…
玉を弾くと…

「っ……」

泊斗さんのラケットの
横をすり抜けた…

観客が静まるなか…私達は…
座り込んで…

「ハァハァ…
はく…とさん…ハァ…
夜食…っ奢って下さいね?ハァハァ…」

そう言うと…
今まで静まり返っていた…
観客が…

「姉ちゃん!凄いな~!
これあげる!」
「お姉ちゃん!
蝶々みたいだったよ!」

とか言われながら…
飴や…御菓子…
ジュースをくれた…

「ありがとうございます…」
「いやいや!
礼を言うのは…此方だ…
久しぶりにワクワクしたぜ~!」

と…言いながら部屋に戻って行った…

「桜~!
凄いやん!
感動したで!
にしても…何処の誰が
チャンピョンやて?
一般の桜に負けてるやん!」

と言って笑う静