杏ちゃん、結婚しよ




「俺が車に?」


「うん……っ…………ずっと…昏睡状態で……」


「ほんと?」


いつも通り、のんきな顔で


驚いてるのか驚いてないのか、


分からない表情で


「俺…死ぬかもしれないのか」


「そんなこと言わないで!!もうすぐ、目を覚ますもん!」


「俺がここにいるのに?じゃあ俺はどうなるの?」


「知らないよそんなの!!」



「ねえ杏。場を考えない発言してもいい?」



「……何?」



「俺と結婚しよう」


「………は?」


「気づいてただろ?ずっとプロポーズしたかったんだ。指輪は、クローゼットの一番奥。あ、上の棚ね」


「何で今そんなこと言うの…?」


「ずっと言いたかったんだよ。っていうか、純粋に結婚したくて」