杏ちゃん、結婚しよ




結婚したい自分がいた


はっきり家族って名乗れない関係


でも、


やっぱり


幽霊みたいなタクじゃなくて


本人から言ってほしくて


「さっきタクの事務所の人から電話来てたよ。明日会いたいって」


「川浪さんかな…、お見舞、何持ってくるんだろ…」


このままじゃ食べれないのに、
変なの


「おっ、
やっと笑った」


「え?」


「杏、今日はまだ笑ってなかったから」


「そんなの………わかんなかった」





透き通る彼の右手が

あたしの左ほほを撫でようとする


「タク……っ……」


「ここにいるよ。杏ちゃん」