「ねえ、杏ちゃん。あの指輪、つけて見せてよ」 「嫌」 「どうして?」 「どうしても」 「俺のこと、嫌いになった?」 「そうじゃない」 「じゃあ…」 「このままじゃだめなの?っていうか、あなたは本当は今あそこにいて、眠ってるの。生き霊としているんだから、戻れば意識が戻るんじゃない?」 「さっきついていったんだけど、病院に入れないんだ」 「……なんで」 「俺が聞きたい」 最後の一口。 「口いっぱいに頬張る杏ちゃん、好きだよ」 「意識戻してから、言ってよ」