杏ちゃん、結婚しよ




「だから何で今それ……」


「死んじゃったら、言えないだろ?
ほら、クローゼット見てみてよ」



震える足で、クローゼットをあけた。



二人の靴下が入ってる


たまにあたしの靴下を履いて


小さくて穴が開いたっていいながら


笑って帰ってくる




コツっ


指と何かが当たった。




「ごめんな、俺が着けてあげたかったんだけど」


プラチナに、ダイヤモンド。

内側には、二人の名前のイニシャル“A & T”

と掘られていた。



やっぱり幻覚じゃない…


これをこんなところに隠したの、

タクしか知らない……