ねえ好きって言って 【完】

「れーいたっ♪」




うざい声が
俺の名前を呼ぶ。




「…なんだよ、望」




今の俺は不機嫌度MAXだった。




「ちょっ、何でそんなに不機嫌なんたよ!」

「別に」




望はパンを齧りながら
俺の隣に座った。




「恵恋ちゃんと何かあった?」

やっぱこいつは勘が鋭い。




「さーな」




「恵恋ちゃん、中庭で転校生と一緒にいたけど」




「…はぁっ?!」




どういうことだよそれ。
高鳥と一緒に
いたんじゃなかったのかよ。




意味わかんねー。
なんで凪と…




「…零太、グズグズしてると恵恋ちゃん取られちゃうんじゃない?」

「別に俺は…」




望は俺の言って欲しくないことを
的確に話してくる。
それが現実だと思い知らせるように。




「とっとと認めれば?恵恋ちゃんが好きだって」




は?何言ってんの?
俺が恵恋を?
ないないない。




訳が分からないと言った
顔で望のことを見ると
大きくため息をされた。




「零太って鈍感なの?それともただのバカ?」