オタク女子の王子様はスマホの中から飛び出した!?①






いつもなら石崎と

私が名前を覚えられない話や

三代王子のクリア実績について語るのだが

今日は違和感でしかない。


「あの・・・先p『ひなたさ、

 さっきの話、同情した?』」


沈黙を破ろうと話しかけた私の声を

先輩が遮る。


「さっきの話?」


『両親が死んだってやつ。』


「ぁ・・・あぁ。

 正直 驚きましたし

 そんなことも知らないで

 関わってるこの関係に

 疑問も抱きました。」


『それで?

 可愛そうだと思った?』


「それは・・・あまり

 思いません。」


『どうして?

 俺に関わってきた人・・・そうだな

 特に女の子は皆 同情をして

 好かれようと必死だったのに。』


「そうなんですか・・・。

 私は別に好かれようとも

 思ってないから

 そんな風に同情はしないん

 でしょうね。」


『そうなの?』


「はい。

 まぁでも、宮代先輩が

 その話題で落ち込んでいたり

 後ろを振り返ってばっかりだったなら

 少しは励ます努力をしたでしょうけど

 なにも事情がわからないのに

 同情も何もないですよ。

 先輩は前を見て歩いてる。

 それならいいんじゃないですか。

 私には関係もないことです。

 それに、カレカノじゃあるまいし・・・。

 あなたの全てが知りたいなんて

 思ってませんから。」