なんだろう。この胸の高鳴りは。

なぜ体が熱くて熱くて

仕方ないんだろう。


「先輩・・・。

 どうして私に構うんですか?」


『んー・・・

 特に理由はないけどどうして?』


「いえ。

 私、今朝会ったばっかりだし

 それにオタクだし。

 それに今だって、これ・・・

 重いでしょう?」


『重くないよ?』


「嘘だ。」


『本当だって。

 信用ないなぁ・・・』


人気のない廊下を歩きながら

先輩と他愛もない話をしている自分が

信じられなかった。


『ただ、さ。

 君はなんだか

 他の女子とは違う気がした。』


「・・・え?」


まるで本物の王子様。

素敵な言葉を呟いて

私の心を溶かしていくんだ。

そして気付いた時には、もう

彼の虜。・・・私は気付いてしまった。